13_06_01

木蔵さんイベント時に承った19951990年頃製Taylorのリペアです
結構ハードル高いです・・・一挙に行きます!


はい、ヘッド部分です、正真正銘のTaylorアコースティックですね

ん?ヘッドとボディーの位置関係が・・・・・・???

既にフレットワイヤーが抜かれている状態です
っで、どこに不具合があるかというと
ネック起きですね、写真では解りにくいかと思いますが
ヒールのエンド部分がボディーから剥がれてかなりネックが起きあがっています

以下、驚きのネックの継ぎ方です

ネックをはずした写真です

いわゆるボルトオンでしょうか
通常ボルトオンはボディーのヒール側が凹で、ネック側を凸の様にしてはめこんでボルトで固定するのですが・・・・・・・・

このような継ぎ方もあるのですねぇ〜
んでもって、何故ネックがおきたかというと↓

鬼目ナットが見事に馬鹿になっています
これではネックが起きあがって当然ですね

この段階で馬鹿になった鬼目ナットはこれ一つだと思って作業しています

しかもよく観察してみると割れています・・
どのくらい割れているかというと中指付近の塗装の膜で何とか付いている程度です

これは致命傷ですね、どうしましょう

とりあえずタイトボンドを擦り込んでクランプしておきましょう

さて、もう一度良く観察すると

指板側の鬼目ナット少し浮いてません??
なんとこいつも馬鹿になっていました (T_T)

結局このギターはネックとボディーがボディーがに乗っている指板の接着箇所のみで付いていたことになりますね

指板側の鬼目ナットも取り外してメイプルのダボを打ち込むことにしましす

ダボとの接着面に隙間がありそうなのでタイトボンドではなくエポキシで接着したいと思います

作業時間5分の高速タイプを使います

メイプルの端材を粗方丸くしたならば穴に合うように手作業で削っていきます

エポキシをタップリ塗って挿入

指坂側も同じように埋めていきます

完全に接着したならば新たな穴をあけて鬼目ナットを打ち込んでいきます

ボディーの方も観察してみましょう

赤丸で囲んだ部分なんでが、少しサウンドホール側に凹んで見えませんか??

そうなんです、単純にネックが起きあがっただけではなく、その力に耐えきれなくなったヒールブロックがボディーの内側に少し倒れているのです

ヒールブロックが倒れた分、赤丸部分のトップ材も割れて内側にずれています

んでもって凹状に塗装が剥がれている部分が指坂との接着箇所
これだけ広い面積なのにこれしか接着されていませんでした

アイロンで熱を加えて剥がしたのですが指坂にトップ材がかなり持って行かれました

 

「9573」のシリアル番号が見えますね
最初の二桁は間違いなく製造年の1995年でしょう
下二桁は不明です

オーナー様から聞いたところ購入したのは1990年頃らしいです
失礼いたしました

あて木の両端にフエルトを貼り付けてヒールブロックを外側にあおってみました

完全には戻りませんでしたが、かなり戻りましたので
この状態で割れた部分にタイトボンドを擦り込んでいきます

割れている部分にタイトボンドを垂らして

親指で擦り込んでいきます、裏側までタイトボンドが出てくるまで擦り込みます

なんとか裏側まで浸透したようです

後は濡れぞうきんで拭き取っておしまいです
反対側も同じように処理してしばらく放置です

ちなみにこの写真は一週間前の出来事

そうこうしている打ちにダボを打ち込んだエポキシが完全に硬化したようなのでこちらを進めていきます

ヒールがボディーに接触しているのはヒールの外側5mm程度でしょうか
何故かサンダーの様な物でえぐられています

とりあえずはみ出たダボを削りましょう

スピンドルサンダーを使って削りました

これから新たな鬼目ナットを打ち込むための穴をあけていきます
まずセンターラインを引いておきます

うーーーん

穴の位置ずれてますけど・・・・

こんな感じでネックを固定して新たな穴をあけていきます

穴開け完了!

それでは鬼目ナットを打ち込んでいきましょう

今回使う鬼目ナットの候補者たち、っと言っても2種類しかありませんけどね

構造上もっとも引っ張り強度に強いのは下のタイプの物です
少々長いので少しカットして使います

一応鬼目ナットの外側にエポキシを塗って打ち込んでいきます

これで鬼目ナットが抜けるようなことがあればヒールブロックにダブティル加工を施してネックを作り直すしか方法は無いかもしれませんね

抜けないことを祈ります

鬼目ナットの換装完了

ヒールの縁の部分に乗った塗料を剥がしておきます
ボルトオンだけでは心配なのでボディーの方の塗料も剥がして接着したいと思います

ネックを付ける前にフレットを打っておきます

指坂を#400でサンディング、指坂Rは12インチRでした
材種はたぶん黒檀です

軽くオイルを塗っておきます

乾く前に完全に拭き取ってフレットを打ち込んでいきましょう

オイルを塗って解ったのですが

赤丸の部分、黒く見えません??
これは何かというと、指坂がチップしてそれを埋めた痕です
通常新規でフレットを打つときにはこのような事はおきないので
一度フレットの打ち換えをやっているのかもしれません

今回のフレット抜きでチップした部分を同じように補修していきましょう

エポキシに黒いパウダーを混ぜて練ります

んでもってチップした部分に乗せて行きます

真っ黒ですね、作業時間は5分です

急ぎましょう

こんな感じでチップした部分に乗せていきます

硬化したならばもう一度サンディングしておしまいです

さあ、今回使うフレットはミディアムミディアム

程良い太さ、程良い高さって所でしょうか
通常はこのようにカットしたフレットをガンガン打っていけば良いのですがそうも行きません

指坂の両サイドに黒いバインディングが巻いてあるので、バインディングの部分だけフレットのタングをカットしなければならないのです

タングの部分をカットして、ヤスリで削っていきます

タングニッパーがあれば一撃です
今度調達しましょう

フレットワイヤーの両サイドを丁寧に削っていきます

このギターは20フレットなので後19本同じ事を繰り返します
まあ、1時間半から2時間はいただきですね

こんな感じになるわけですね

これで打ち込むことが出来ます

バインディングの部分にはフレットが乗っかっているだけですね

さあ、あと19本がんばりましょう

あっという間に出来ました、ウソです

やはり2時間弱かかってしまいました、太陽もかなり高くなってきましたね

それではフレットを打ち込んでいきます

溝にタイトボンドを流し込んで打ち込んでいきます

いつもはボール盤を使って圧着していくのですが今回は手作業で打ち込んでいきます

あて木をして叩いて打ち込みます
この作業も地味に時間がかかりますね、まあのんびり行きましょう

はい、20本打ちみ完了!!

ふう、はみ出た部分をカットして更に加工していきます

自前の道具でフレットのエッジを斜めに削っていきます

手をスライドしたときにフレットのエッジが引っかからないよう、確認しながら削っていきます

斜めにし終わったならば角張った部分を軽く丸めて行きましょう

これまた地味に時間がかかります、ここで今日は暑いのでビールもどきを体内に取り込んでの作業となります

よっしゃ、フレットも打ち終わったのでボディーに取り付けてみましょう

このボディー側、バリバリ塗装が乗っているので後から接着面の部分だけ塗装を剥がすことになります

合体!っと言っても借りの組み込みですよ

良い感じです、弦高も確認しておきましょう

テンションが架かっていないのでかなり低めですね

うーん、解放弦びびるかも・・・・ナットも交換しないとダメかな?

12フレット付近で1mmって所でしょうか
エレキなみの弦高になりますね

まあ弦を張るとネックも若干曲がるし、ブリッジも若干持ち上がるのでこれよりは高くなるのは間違いないです
問題はどのくらい変化するかです、こればかりは弦を張ってみないと解らないですね

とりあえずこの状態ではOKでしょう

さあ、いよいよネックの取り付けです

ヒールの部分の塗装は既に剥がされています
問題はこの指坂が乗っかる部分です
ネックをはずした際にネック側の接着剤にボディーのトップ材がかなり持って行かれているのでかなり深い段差が出来ています

塗装を剥がすことも考えたのですが塗装面を粗めのペーパーでサンディングしてエポキシで貼り付けることにしました

最後の位置決めをしております

こいつをしくじると大変ですからね、慎重に何度も何度も確認します

さあ、勝負!!!

ヒールの部分はタイトボンド、指坂の部分はエポキシ
超変則技で望みます、時間がないので少々ピンぼけ気味です

ちなみにタイトボンドを塗っている部分しかボディーと接触しません!

ボディの中からしっかり閉め込んで指坂をクランプ

またまた2時間ほど放置でしょうか、昨夜からの徹夜の作業で少々眠いので若干仮眠しますzzzzzzzZZZZZZZZZZ

復活!

まあ、2時間もおいておけばOKでしょう

どれどれ、クランプをはずしてみましょう

ヒールの部分はOKのようですね
弦高も変化ありません

今度はフレットの摺り合わせです

一応テンションが掛かっていない状態でネックをフラットにしておきます
トラスロッドが若干しまって逆ぞり状態になっていたのでゆるめます

指坂を保護して摺り合わせ開始
まずは#400で粗方削って、その後で#1000で仕上げていきます
摺り合わせ完了、結構削りましたね
削って平らになった部分を丸めていきます

この段階で高いフレットがないか徹底的にチェックしていきます

ここで手を抜くと特定のフレットだけ音がびびる事になります
何度も何度も確認して高い部分があれば削って調整していきましょう

高さはOKのようです

今度は#2000で水研ぎ、フレットを磨く下準備ですね

フエルトバフに緑棒を塗って一気に磨き上げます

ふう、ピカピカです!!!!気持ちがよい

今一度オイルを塗って、綺麗に拭き取りその後でレモンオイルを塗っておしまいです

指坂も美しく仕上がりました

ちなみに、このフレットが元々打ってあったフレットです

使い込んでいますねぇ
チョーキングは絶対に無理です!!!

弦を張る前に長年たまったボディー内のゴミもエアーで吹き飛ばしておきます

ホコリがかなり出てきました!

サドルです、ん?

このサドル少し変です、何がって、溝の切り方です
どの溝も同じ太さ、明らかに付け替えていますね

6弦側の溝が極端に細いです、これにも手を加えておきましょう

専用のヤスリで溝を掘りなおします

おそらく弦高を低くするためにサドルを交換したものと推測します

んでもって弦を張ってみました

サウンドホールから出ているのはバッテリーを取り付ける線です

この取り付けはオーナー様にお任せいたします

試奏してみましたが弦高は低くてとても引きやすいです
各フレットのびびり無し!

ただし開放弦で強く弾くと4弦が若干びびります
解消するにはナットをほんの少し高くするしか方法はありません

12フレットで1.7ミリくらいでしょうか

またまた問題点発覚!

ブリッジが浮いています
シックネスゲージを入れてどの程度剥がれているか確認します

入るところまで入れたら鉛筆でマーク
うーん、かなり剥がれていますね

1弦側に至ってはピンに当たるまで剥がれています

指坂を剥がした時の接着状態から推察するに
おそらくブリッジも全体に接着剤は塗っていないでしょう

だとすれば、剥がれたのではなく元々接着剤が塗っていない部分が
ボディーが持ち上がったせいで表面化しただけかも

一番良いのはブリッジをはずして着け直すのがベストですが
指坂をはずしたときのようにトップ材をブリッジに持って行かれるとどうにもなりません

ここはこの状態でオーナー様にお渡しして現状確認していただきます

これ以上のリペアはリスクもかなり伴います

とりあえず明日オーナー様に会う予定なので詳しく説明したいと思います

これにて1995年製Taylorリペア完了